プロジェクトの背景
日本のエネルギー事情
エネルギー自給率が約10%と資源が乏しい日本では、様々なエネルギーをバランスよく組み合わせる必要があります。
安定供給性が高く、経済性に優れた石炭火力は、エネルギー基本政策の「3E+S」のエネルギーミックスを達成するために不可欠です。
日本のエネルギー自給率はわずか10%
資源が乏しい日本では、エネルギーのほとんどを輸入に頼っており、化石燃料の依存度が高いことから、国際情勢の影響を受けやすいという課題を抱えています。
資源エネルギー庁HP「日本のエネルギー2018」をもとに作成
日本の電源構成見通し
パリ協定を前提に策定された政府のエネルギー需給見通しにおいても2030年には石炭火力エネルギーが26%を占める予測になっています。
経済産業省 長期エネルギー需給見通し(2015年7月)
安定供給性、経済性に優れた石炭火力
石炭は石油や天然ガスと比べ、埋蔵量が豊富にあります。政情の安定した国を中心に世界中に広く分布し、安定供給が見込めます。また、他の化石燃料に比べ低価格で、価格変動も少ない資源です。
出典:BP統計2019
出典:BP統計2019
出典:財務省貿易統計
将来にわたってエネルギーを支える石炭
石炭は「エネルギーセキュリティ」・「経済性」に優れており、日本の電力需要を支えています。
世界のエネルギー事情
国によって異なる、発電電力構成
現在、世界の発電電力量のうち、約4割が石炭火力で最も大きな割合を占めています。電力エネルギー消費の大きい中国・インドで約6割以上、再生可能エネルギーの導入が進むドイツでも約4割を石炭が担っています。
今後、世界的に再生可能エネルギー・天然ガス火力の増加が見込まれておりますが、先進国では石炭の利用を抑制していこうとする動きがある一方で、アジア等の新興国を中心に石炭火力の需要が拡大していくことが予想されています。
出典:IEA統計資料(Electricity and Heat for 2016)
出典:IEA 「World Energy Outlook 2018」:新政策シナリオ
将来の脱炭素社会に向けて
2040年に向けて世界の発電電力量の増加が見込まれており、再生可能エネルギーとともに化石燃料による発電量も増加する見通しです。なかでも石炭と天然ガスによる発電量の割合は約5割を占めており、これらのCO2排出削減が課題となっています。
天然ガスと比べても排出量の多い石炭火力からのCO2の大幅削減が、持続可能な社会に向けた鍵となります。
出典:IEA「World Energy Outlook2018」:新政策シナリオ
火力に求められる新たな役割
再生可能エネルギーに対する火力の役割
再生可能エネルギーは発電時にCO2を排出しないため、温暖化対策の一環として導入の拡大が期待されています。一方で太陽光・風力等の再生可能エネルギーは天候などにより発電量が大きく変動するという課題があります。再生可能エネルギーの拡大には不安定な電力量をカバーする「調整力」が必要不可欠になります。
そして、現在、その役割の一端を担っているのが火力発電です。
図は上記リンク【電力需要と発電量のイメージ】をもとに作成
日本のクリーンコールテクノロジーが世界を変える
資源輸入国の日本では、電力安定供給のため、火力・水力・原子力・再生可能エネルギーなどをバランスよく組み合わせたエネルギーミックスを目指しています。
なかでも埋蔵量が多く、価格が安く安定している石炭を将来にわたって活用していく必要があります。
一方、地球温暖化対策のため、石炭火力の発電効率を高め、二酸化炭素 の排出を大幅に削減する、クリーンコールテクノロジー(環境にやさしい石炭利用技術)の開発が急務となっています。
大崎クールジェンプロジェクトは、究極の高効率発電技術である、石炭ガス化燃料電池複合発電とCO2分離回収技術を組み合わせた「革新的低炭素石炭火力発電」の実現を目指す実証事業です。